◆このインタビューは2002年2月に行われました。
◆今回の取材は高田文夫さんのご好意でインタビューさせていただきました。
 天才の頭脳はターボPC!! 高田文夫

 テレビ・ラジオで御馴染みの高田先生に色々と話を伺った。

編集長(以下編):先生、今日はお忙しい中お時間を頂きありがとうございます。

高田さん(以下高):忙しいのは誰もが忙しい。忙しくない人間は失格だな!忙しいという事と、忙しい振りをしているというのは違うし、俺の場合は普通の人間が5時間かかるものであれば1時間で終わる。頭の使い方が違うんだよ。時間を作るという事は頭の良さに比例してくる。一つの事を人に伝えるにしても的確に要点を伝えれば短時間で事は済む。文章を書く事にしてもそうだ。無駄に時間をかけたからといってよい物が出来る訳ではない。

編:先生みたいに成りたいと思った時、どの様な努力をすればよいでしょうか?

高:そんな方法はないな、個人的な才能というものは人それぞれある訳だし、努力をしても出来ないものもある。編集長にしても幾ら努力をしても歩いたり、走ったりする事は出来ないだろ。だからといって努力をしなくて良いということではない。人がこうだから、アーだからという前に、自分自身を知ると言う事だ。他の人に出来ないからこそ羨ましがられ、尊敬もされると言う事。時間というものは誰でもが平等に与えられたものだろ、その平等の物を無駄遣いするか、大切に上手に使うということに気を付けただけでも随分と違うのではないか!だからといって長い時間、寝もしないで打ち込むという事ではないぞ。俺なんか一日9時間は必ず寝るしな。

編:そうですね、寝ないと効率が悪くなりますね。でも、先生みたいに全ての事を吸収出来るというのは凡人では中々難しいですよね。

高:だからいっているだろ。自分の得意な分野(興味)のある物を見つける事だって、自分の興味のある事柄であればより多く、より深く知りたいだろ、そのカテゴリーが多ければ多いほど人は凄いと思う訳だ、今、いえることは障害を持っていようが、持っていなかろうが、無気力だという事、色々な事に余りにも無関心すぎると思う。世の中が余りにも便利に成り過ぎたという事も一つの原因でもあるだろうな、たとえば携帯電話、インターネットと人と人とが顔を見てのコミュニケーションがなくなって来てるだろ。だから、目上を敬う、人間を大事にしないんだよ。人と人が関わる事にはそれなりのルールがあるはずだ、初対面の人には挨拶、目上の人には敬語という常識的な事が分からなくなってしまってきてはいないか。だから人に自分の主張や意見を伝えられないだろ。

編:そうですね、今が良い悪いは別にして確かに会話という物は少なくなってきてますね。

高:基本は会話だよ。人と触れ合うこと、そのことによって相手の事、その時の雰囲気等を感じることが出来る。それを良く表現しているものの一つとして落語というものがあるけどな。

編:落語ですか、確かにビジュアルで表現するものではなく、会話だけでのエンターテイメントとしては究極のものですね。

高:そうだよ、そこには日本人の粋という世界があり、江戸っ子の情緒があるんだよ。それを間とか声の抑揚等で表現し、聞いている相手に世界を創造させるということは技であり、極みなんだよ。
一つの例をとれば、編集長の所はチェアウォーカーの人たちへの情報誌だったよな。落語の世界だってバリアフリーだぜ。与太郎なんて人間は今でいえば知的障害だよね。その人間に店番を任せる、何か失敗があっても笑いというもので納得をする。連れ立って吉原に行く、これって差別のない世界だと俺は思うんだ、障害は障害だよ。その事だけを取り上げていたら前には進まない、それを踏まえた上で、何でも一緒に進むということは良いことだと思うけどな。昔は障害を持っている人に対して平気で、面白がってからかったりもした。決して良いことではないが、逆の意味でおおらかだったよな。

編:そうですね。良くいわれましたよ、ビッコだの何だのと。でも、嫌な気持ちはしましたが、それになれるということでは余り時間はかからなかったし、自分の置かれている立場を早く知りえたという意味では良かったかもしれませんね。

高:多かれ少なかれ生きてればぶつかる物はあるよ。だからこそ人と知り合うこと、理解しあうことが大事なんだよ。俺は福祉と言う事に詳しくもなければ、特別な関心も正直にいってない。でも、普通に生きていること、人間として認め合えれば、障壁なんて言葉はないはず。チェアウォーカーも我々も普通に生きていけば良いと思うし、自分の言葉で話をするのが大切だと思うけどな。楽しく生きようよ、何を思おうが、何を考えようが、今という時間は戻らないって事だ。

編:ありがとうございます。そのとおりです。時間という大きな波を上手に超えて行きたいと思います。また、先生の落語をききにいきたいです。

高:俺はここのところ高座には上ってないんだよ。周りから上がれといわれているけどね。その時はききに来て下さいな。代わりというと何だけれどCDを出している。評判は良いんだ。よかったらきいてください。「車イス駐車場には停めません宣言」をやっているだろ。俺は停めませんよ。いわゆる常識としての事だな。俺は常識人ですからね。

編:おっしゃる通りなんです。モラルの問題ですから一人でもそんなモラルを持って頂ければ、少しは住みやすい社会になると思います。先生に宣言をして頂くだけで大きな反響があると思います。本当にありがとうございます。

高:がんばれよ、そうだ頭の良くなるお札をプレゼントするよ。高田文夫の千社札を何枚かプレゼントする。

編:ありがとうございました。

本当に粋で会話の達人高田先生の頭の中はコンピューターにターボがついていた。

<プロフィール>
本名 高田文雄。東京都出身。1948年生まれ。1970年日本大学芸術学部放送学科卒業。
卒業と同時に放送作家の道を歩む。数々の歌謡番組、バラエティ番組の構成を手掛けつつ1981年「ビートたけしのオールナイトニッポン」スタート。1983年立川談志一門に入門。「立川藤志楼」として高座にも上がる。放送作家・ラジオパーソナリティ・落語家・企画プロデューサー・作詞家・コラムニストなど多岐にわたるジャンルで活躍中。